本日はアクタージュのジャンプ本誌について感想などをざっくりと。
まずは冒頭部分で描写された巌さんの告別式。前号の展開が
「別れの言葉は さようならじゃなくていい」からのカーテンコール
「ありがとうございました」で締めただけに涙ながらの…みたいな
展開にはなりませんでしたね。流れ的にこれはこれでありなんじゃ
ないかと。

そんななかで女優・夜凪景の名前は早くも業界内で注目を集め始めた
ようでして。「アキラと明神阿良也でしょ」からの「ちげーよバカ」
の会話にその2人を差し置いてという注目度の高さが窺えます。

黒山さんと会話をする手塚監督。黒山さんからは葬式にグラサンで
来る変態呼ばわりされてしまいましたが。御存知デスアイランド編で
はクライマックスでの夜凪さんの出番削れば,の意見に「駄目だ!」
でガチ切れしてまで夜凪さんにこだわりを見せた御方なんですよね。
「僕がマネージャーやろっか」で軽口叩いてますけど,夜凪さんに
可能性を見出した一人でもあるわけでして。そういう意味では慧眼の
持ち主とも言えるので見た目ほど軽くは扱えない人物じゃないかと。

雪さん。その格好でルイレイ連れ歩いていると若くして未亡人臭が
半端無い。本人曰くのやばいよね感が日に日に増していくような。
そしてアキラ君。不謹慎で恐縮ですが黒のスーツ姿が決まり過ぎ。
恐らく今号を読んだアキラファンの女性読者の方々は,ヤバイこれ
ヤバイみたいなリアクションになっているのでは。

雪さんがきっちりリアクションしてくれてますがザ・マスゴミみたい
なヒゲの空気を全く読まない質問。

以前のアキラくんなら曇り顔の一つも見せたのかもですけど。
堂に入った表情で懐の深さを見せつける受け答え。惚れますね。
読者視点で言うならば黒山さん曰くの「人が成長する瞬間が見れた」
はまさにこの舞台編のアキラくんの為にあるようなフレーズなので。
この経験を糧にした彼の成長譚というのも,この作品を読む上での
楽しみの一つになったのは間違いないところです。

舌打ちしてみせるところまでクズのテンプレみたいである意味納得
といったところですがそれはさておき。彼の台詞でふと思ったのは
かつての巌門下生みたいな役者さんで,クセのありそうな人物が
まだ見ぬ隠しキャラとして業界内に存在してたりするんかなーと。
もしそういう存在がいたら男優にしろ女優にしろ見るのがちょっと
楽しみではあります。或いは海外とかに籍を置いていたりする御方
がいたら面白いかもですね。

七生さん。思ってたより明るい表情が見れたのは良かったです。
単行本5巻の幕間では宇佐崎先生の手によってそのスペックの高さが
明らかになりましたね。七生さんのファンの方はメイドさんのやつと
巫女さんのやつ両方とも作品として是非見たいんですが的な感想を
持った方が多数いると思われ。

惜しむらくは亀さん共々この舞台編の終了に伴って出番が激減して
しまうであろうところがツラいところです。思えばデスアイランド編
でも個人的には茜さんや武光くん,あとは和歌月さんあたりのキャラ
はもっと掘り下げを見てみたいなと思うくらいには魅力を感じたん
ですが。物語の構成と夜凪さんのポジション的に一つ所に留まらない
かたちで彼女は階段を駆け上がっていかなきゃならないので。例え
人気の出たサブキャラがいても,お話的に主人公と行動を共にする事
が出来ないのが勿体無いところではありますかね。
阿良也。過去回想で既に明らかになってますが,間違いなく他人との
距離感とかモラルがずれている部分があると思われ。これも夜凪さん
を落としにいってるとかそういうんじゃなく,ナチュラルにやってん
だろうなと。何日かおきに夜凪カレー食いに夜凪家へお邪魔するのが
目に浮かぶような。あと1ページ前でこれはいいイケメンてなカット
を見せてからの,余裕のないアキラくんのシャウトがいい感じです。
男女間の色恋沙汰にスポットを当てる作風では無いにせよこのへんの
絡みは千世子さんも含めて箸休め的にちょくちょく見てみたいところ
ですね。

それまでの空気が一変したアリサさんのご登場。一連の流れを拝見
した後で敢えて感想を述べるならば,わざわざ来てくれたんだなと。

余談ですが阿良也の目つきが途端に変わるカットに彼のこだわりが
垣間見えていいですね。あと読者目線だと忘れがちですが,夜凪さん
視点で言うならばアリサさんの存在はあの時のスターズの社長の人
くらいの認識なんですかね。恐らく夜凪さんがこの先ステップアップ
を遂げるに従って星アリサの存在は否が応にも意識する事になるんで
しょうけど。

巌さんの贖罪の想いを込めた演出を汲み取った上でのこの台詞と取る
ならば。シンプルではありますけどアリサさんのかけた一言には重み
がありますね。

そのまま話の流れで夜凪さんへと向けられたであろう一連の言葉。

特に自らがかつて体験した感覚を夜凪さんに告げるこのシーン。
恐らくはアキラくんですら聞かされていなかった告白ではないかと。
余白の演出も伴ってその怖さが伝わるのと,まるで鏡写しのように
夜凪さんとアリサさんだけが映し出されているその構図がなんとも
印象的ではありました。


割愛していますがその後黒山さんと言葉を交わすアリサさん。
星アリサの再来として女優・夜凪景がフォーカスされる以上夜凪さん
にとって超えるべき大きな壁ポジションにアリサさんが位置している
のは間違いのないところで,スターズ社長というその立ち位置から
夜凪さんとは相反するグループの最上位に構えてるのは間違いないん
ですが。


今号ではっきりと描写されたように直接的ではないにせよ夜凪さんを
見守ってくれているところがアリサさんの人物的な魅力と器の大きさ
ですよね。確かに物語としてはスターズのやり方に異を唱える黒山が
見出した存在,それが夜凪景ってな感じなんでしょうけど。こうして
ストーリーが進むにつれて,個人的にはアリサさんの人物像とその
立ち位置にも確かに共感を覚える部分があると思えるわけでして。
星アリサが夜凪さんに何を見出し,この先の展開で何を想うのかと
いう部分についてもこのアクタージュの見どころとして,個人的には
注目していきたいところです。
で,前後割愛していますが新章の幕開けを予感させる新キャラの登場
となった一連の場面。初対面の相手にふわふわしたことを生業に,と
自己紹介するあたりで既に曲者感が漂います。

流れで演出されたこのワンカット。個人的には痺れました。
それまでの黒山さんや手塚監督,アリサさんの言動で胡散臭い人物
というのは見て取れましたが。近付いてきた件の人物から守るように
並び立ったこの4人の構図は,さながら姫をお守りする近衛の一団
みたいにも見えて。語彙力無くて恐縮ですがすげーカッコいいなと。
一人だけなんにもわかっていない風な夜凪さんの表情が穢れの無い
お姫さま的な雰囲気を醸し出していて4人との対比で良い感じです。
あとこういう台詞を口にする時のアキラくんの頼もしさ。


購読された方は御存知ですがどうもこの業界内では悪い意味でその名
が知れ渡っていると推測されるプロデューサー・天知心一。阿良也を
して「だからヤバイ」と称されるこの人物が物語にどんな波乱を巻き
起こすのか,風雲急を告げる今号の引きとなりました。

というわけでなんとも怪しげで胡散臭い新キャラが出てきましたね。
ただ黒山さんやアリサさんのリアクションを鑑みるに,一筋縄では
いきそうもない存在と見て取れます。最後のカットを見るに夜凪さん
の事はかなり調べ上げた上でのリークをやってそうなので読者的には
一言で言えば嫌な奴が出てきたなと。当人を前にして見世物という
表現を臆面もなく使ってくるあたり,阿良也の言う通りにヤバさを
感じます。同時に女優(俳優)は見世物という,黒山さんやアリサ
さんとは全く異なるベクトルの価値観の持ち主であるというのが
初見ではっきりと伝わってきますね。
問題は読者視点で言うならばこんな奴関わらなければいいじゃんで
話は済むわけですが,まあ間違いなく展開上はその逆になるわけで。
個人的に気になるのは,仮に周囲の反対を押し切って夜凪さんが
このオファーを受ける場合,その理由がどういったものになるのか
というところなんですけど。或いは夜凪さんの母親もしくは父親と
いった存在にも話の矛先がリンクしてきたりするんですかね。まあ
これは現状で何も言及が無いので個人の妄想にしか過ぎませんが。
個人的にはプレイボーイの座談会での会話を受けてもっとスケールの
小さい1話から2話で完結みたいなエピソードが差し挟まれるのかと
思っていたので,今号のお話はかなり意表を突かれた感があります。
不安を煽る展開での引きとなりましたが,それと同時にどうなっちゃ
うんだろうという興味も同じくらい抱いてしまう引きにはなったの
で。次号が待ち遠しいところです。
アクタージュ act-age 5 (ジャンプコミックスDIGITAL)
週プレNo.7 2/18号 [雑誌]
テーマ : 漫画の感想
ジャンル : アニメ・コミック